臨床手術麻酔

  手術

帝京大学医学部附属病院の年間手術件数は約9,000件、麻酔管理症例は年間約6,000件となっています2009年5月の新病院開院に伴い手術件数は増加の一途を辿っており、麻酔科医の活躍の場はますます増えています。
また当院は、救命センター、外傷センター、ERを持ち、急性医療の担い手として、『命を守る麻酔科医』を育成することに主眼を置いています。
そして、癌拠点病院として、安全な癌手術が多数できるような体制を目指しています。
麻酔科医が臨床麻酔を学ぶ上で、様々な分野の症例が豊富であり、充実した研修ができる場であると言えるでしょう。

 全身麻酔

 手術中は、常に患者さんのバイタル(血圧、脈拍、体温、心電図など)、手術の進行状況、を把握し、麻酔深度や輸液の調節を行います。危機的状態に 対応できるように、日頃からのトレーニングが欠かせません。

 硬膜外麻酔・脊椎麻酔

 いずれも局所麻酔であり、脊椎神経麻酔し、無痛状態を得る方法です。
技術的には修練を要しますが、当院では症例数が豊富なため、学ぶ機会が多い技術と言えるでしょう。

 神経ブロック

 現在では超音波ガイド下での神経ブロックが主流となってきています。当科では、海外でブロック研修を受けた麻酔科医も在籍しており、ブロックによる効果的な鎮痛方法を学ぶことが可能です。

 産科麻酔

 当院では、総合周産期母子医療センターが整備されており、質の高い周産期医医療の実現に力を入れています。
麻酔科も母体搬送による緊急帝王切開術を常時受け付けられるように、24時間体制で運営しています。当院での研修中には、そういった緊急手術の麻酔を経験することもあるでしょう。
産科麻酔に携わるのは新しい命に接することでもあり、感動も大きいのです。

 小児麻酔

 鼠径ヘルニア根治術や精巣固定術などの、小児一般外科手術の麻酔が中心です。
小児特有の病態生理を理解した上で、麻酔管理を学んでいきます。

心臓血管外科麻酔

 新病院になり心臓血管外科講座では新しく榊原記念病院から下川主任教授を迎え、心臓血管外科手術の症例が豊富となっています。
また、麻酔科安田医師はTEE(経食道心臓超音波)の日本における第一人者であり、中身の濃い研修をすることが可能です。心臓麻酔は呼吸・循環を外科医・臨床学技士(ME)・麻酔科医の共同で管理するという点で専門性が高い分野です。症例豊富で新病院となり、ハード・ソフトの両面でシステムが整っている当院での心臓麻酔の勉強は有意義なものとなるでしょう。
帝京大学麻酔科では、すべての医局員が心臓麻酔を一人前にかけられるようなトレーニングをしています。

 臨床集中治療(ICU)

 集中治療

 ICUでは医師が交替制で24時間の集中治療に従事しています。
麻酔科ICU専任Drの他、後期研修医も適宜ローテーションをします。各科の重症患者の他に、侵襲度の高い手術後の患者さんも多いのが、麻酔科管理ICUの特徴と言えます。
臨床麻酔の観点からは、周術期の管理を一貫して学べる場とも言えます。

 『ICUに急変なし』

 帝京大学麻酔科出身の福家先生の名言です。
ICUでは24時間体制で患者さんの変化を追い、対処していきます。そのため、想定範囲外の急変は極めて少ないといえます。看護師を始めとするコメディカルとの協力は欠かせません
多くのトレーニングされた目が行き届くのがICUなのです。

 チーム医療

 ICUでは、朝と夕に日勤医師・当直医師の申し送りを行います。看護師も適宜参加し、患者情報の共有をはかり、一丸となて治療に取り組んでいきます。

 Closed ICU

 麻酔科管理のICUではClosed ICUのシステムを採用しており、麻酔科医師がチーム医療の統括を行っています。
各科医師とは毎日カンファレンスにおいて議論を重ね、最善の治療を探っていきます。

 臨床ペインクリニック

 ペインクリニック外来

 ペインクリニックの目的は患者の痛みの軽減と生活の質(Quality of life:QOL)の向上です。適切な診断を通して患者個々の状況に応じた治療内容を選択していきます。具体的には「薬物療法」、「心理療法」、「運動療法」、「東洋医学的療法」そして「神経ブロック療法」などの様々な方法を用います。

現在当科ペインクリニックチームには、日本ペインクリニック学会専門医4名、日本東洋医学会専門医2名、日本がん治療認定医1名のスタッフが、臨床・教育・研究に従事しております。後期研修中のペイン研修希望者は、専門医の指導の下自ら主治医の一人として短期研修参加が可能です。また学会発表や論文投稿についても積極的に支援しています。後期研修後も希望があればペインクリニックでの研修継続は適宜受け入れており、最終的にはペインクリニック学会専門医取得を目指していきます。麻酔科学会専門医にプラスしてさらなる専門性ということであれば、ペインクリニック学会専門医はお勧めです。平均寿命の延びやがんサバイバーの増加は、ペインクリニックの重要性をさらに増すことになるでしょう。オピオイドをはじめとする各種鎮痛薬の使用に長け、区域麻酔の専門家と言える麻酔科医が、手術室の外でも活躍するフィールドとして、ペインクリニックは考慮すべき最適なサブスペシャリティーと言えます。

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